風邪知らずのにんにくのスープ “ソパ・デ・アホ”
スペイン人の台所には必ずと言っていいほどあるのがにんにくと残ったパン。そしてどの家庭にも常備されてるパプリカパウダー。さらに残ったスープストック、卵があれば完璧。というわけで冬にささっと作れる料理として本当に重宝されてるのがソパ・デ・アホ。にんにくのスープです。その上、風邪の予防や治療にも効果があるともなると、つくづくありがたいスープなんです。
熱々をふーふーしながら、口にするとにんにくの香りがふわっと広がる。半熟の黄身はそっと割る。混ざらないように最初半分食べて最後は混ぜて食べるんです。ここが好みが分かれるところなんでしょうね。お味噌汁の卵みたいに。そしてパンのふやけ加減もすごく大切。おじやみたいにぐじゅぐじゅにならない程度に程よくスープが染み込んでないといけない。これも作る人によってすごく違ってくる。
にんにくのスープと言うと赤い色。「辛いのか・・」と思う人も多いようですが、スペインの人たちは辛いものはほとんど食べない。「トマト?」って思ってる人もいるけれど、パプリカパウダー(甘口)の色です。香りも豊かでスペイン料理には欠かせないからこの香りだけで「たまらん!」と思う人たちもたくさん。できれば香ばしいスモークタイプ、それもスペイン・ベラ産を使えばさらに良し。
実は黒こしょうをたっぷりふったり、間違って買ってしまった辛口パプリカパウダーを使ったり。スペインらしくないけど、ちょっと辛いのも悪くないんです。
これは冬がとっても寒いカスティージャ・イ・レオン地方から全国的に広がったスープと言われています。バスクだと塩抜きした干し鱈が入るのがおもしろい。カタルーニャの人に教えてもらったみじん切りにしたタイムを一緒に煮込むのも好き。香りよくさらに風邪予防の効果もさらに上がるのでうれしいんです。シェリー酒をちょっぴり落とすのもいい。ますます身体はポカポカ! そんなときは香り豊かなアモンティジャードがお薦めです。
シェリーと言えば、ずいぶん前に五反田のシェリーバル「シェリーミュージアム」でいただいた締めが “ソパ・デ・アホ”ラーメンだったことがありました。それもインスタントラーメンの乾麺。。ポップだったなぁ。パンの代わりに麺やご飯を入れても美味しいのでいろいろ試してください。
臭い?にんにくは炒めてオリーブオイルに香りを移すので少量でも充分ですし、炒めることによって後に残る臭いも軽減。このスープ、思いのほかまろやかなので、あしからず。
風邪なんかに負けぬよう残りの冬もにんにくのスープでのりきりましょう!
にんにくのスープ
sopa de ajo
材料(4人分)
にんにく 2~4片
バゲット 100g
卵 4個
パプリカパウダー(スモーク) 小さじ2
オリーブオイル 大さじ2と1/2
スープ(チキンスープなど) 6カップ
塩、黒こしょう 各少々
作り方
1. にんにくは粗みじんに切る。バゲットは1cm角に切る。
2. 鍋にオリーブオイルを温め、にんにくを炒める。
3. バゲットを入れてさらに香ばしく炒める。火を止め、パプリカパウダーをふり入れて全体を混ぜる。
4. スープを入れて沸騰したら、弱火にして塩、こしょうで味を調え、ふたをして20分ほど煮込む。
5. 卵を落とし入れ、半熟状になるまで煮込む。