バスクの修道女 日々の献立

昨年からまたすっかりご無沙汰しております!

最後にこちらに記してから、なんと今もまだパンデミックは出口が見えないという状況。そして、季節はまたあっという間に過ぎてゆき、例年より少し早めの梅雨がもうそこまでやってきています。

すっかり遅くなりましたが、この3月に新著“バスクの修道女 日々の献立”がグラフィック社より発売となりました。

レシピ数、なんと465、そしてコラムなどの読み物もたくさん詰め込んだ中身のとっても濃い充実の1冊です!

コンパクトながら分厚い!重量感あるこの本だけにお伝えしたいことも山ほど!

まずはなぜ修道院か??

それなんです!

つつましやかで簡単、短時間で作れ、旬の食材を大切に味わい、毎日の果物、時間がある時に作るうれしいお菓子。そしてフードロスを考える上でも大切な残さないで使い切る工夫、保存食。

修道院の料理には今見つめ直したい料理の知恵と習慣が詰まっています。

そして日本の一汁一菜にも繋がる「1皿目」「2皿目」「果物を基本にしたデザート」が毎日、お昼、夕飯。

この本では見開きでそれに習ってご紹介しています。開いたら、「今日はこの献立!」ときめられます!

家庭的で簡単なレシピが勢ぞろい。身近な食材でできる洋風料理として毎日の献立に困ったときのヒントに気軽に活用してください!

バスク料理、スペイン料理のバイブルとも自分で大きな声で言ってしまえるほど、家庭で作られているお手本料理ばかりです。修道女はおふくろの味の代名詞でもあるのです。

読んで楽しめるちょっとした豆知識「コラム」もところどころに!レシピにもミニミニ解説や料理のコツも入れました。

「修道女の薬箱レシピ」はすぐにできるお茶など、保存食として「ジャム」も濃縮ジャムも含めると11種類ご紹介。

とても見やすい横長サイズでキッチンにも置いてすぐ活用できるようにビニールカバー付きです!きっと一生使っていただける本・・と言っても過言ではないはずです!

たくさんレシピを詰め込んだこともあり、写真がすべて入らなかったことが残念でなリません😭

それでインスタグラムにこれから少しずつレシピのできあがり画像をアップしていけたらと思います!

そのページの画像にすぐ飛べるように、ハッシュタグをつけますね!例えば#春の献立1のように本に合わせて検索して頂ければと思います🕊

ふぅ〜〜、もう説明したいことが山ほどです。

愛される本になれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

Paella y Tortilla

またしばらく更新せず、季節はもう秋に。。

コロナ禍ということもあってか、春から季節感がおかしくなってきて、夏は暑い暑い💦とむずがっているうちにあっというまに終わってしまったような。。

そしてどうしたんでしょう。この涼しさ。今日は衣替えなのに、夏服をしまいたくないこの気持ち。

Paella

連載がはじまりました。
NHKスペイン語講座(TV)テキスト “旅するためのスペイン語”にて「とっておきのスペイン料理」と題して、スペイン料理とその歴史、文化のご紹介をします。これから6ヶ月間ぜひお付き合いください!

第1回目は“パエリア”。歴史と代表的なパエリアのお話です。毎回1品レシピページも!
スペイン語をはじめる方もそうでない方も、ぜひ読んで楽しんでくださったらうれしいです。
電子版もありますよー!

Tortilla

それと・・上白石萌歌ちゃんのトルティージャ作りの動画の監修をさせて頂きました。
トルティージャはPARCO劇場の舞台”ゲルニカ”の中に出てくる料理なんです。


とても上手に作ってくださって、この動画、トルティージャ作りをされる方の助けにもなること間違いなし!

舞台も拝見しました。バスクの小さな村ゲルニカの無差別襲撃は知られているようで、その悲惨さを知る人は少ないと思います。それだけでも舞台、素晴らしいことだなって思っていたけど、いや。。いざ拝見したら。。あのピカソの絵“ゲルニカ”の一人ひとりに息が吹き込まれ、懸命に生きてきたことを教えてくれるような演出と役者さんたちの演技。一人ずつの人生を垣間見ると戦争の悲惨さは強烈に自分の中へ入りこんでくるんですよね。舞台ならではの臨場感が一人ずつの苦悩を訴えたり、また問いかけてきます。

萌歌ちゃん演じる主人公の愛らしさ幼さ、自立していく姿も清々しく、すてきな役者さんだなー。

美食だけのバスクでない、この舞台でバスクの人たちがほんの83年前に体験したことを知るとても良いチャンスです!これから京都などでも公演なさるそう。ぜひ体感なさってください。#PARCO STAGE

偶然にもポスター、パンフレットの撮影は前日雑誌撮影でご一緒した尾嶝太さん!これがまたすてきなんです!

Estofado de Ternera

煮込み料理

暦ではもう春ですが、まだまだ寒い日が続いています。風邪やインフルエンザも流行っていて、身体あたためて免疫力も高めなきゃって思いますよね。それにつけても、この季節は煮込み料理がうれしいです。

スペイン暮らしでわたしの生活の中に根付いたものの中に煮込み料理があります。スペイン語で煮込み料理は”Estofado エストファード”、”Guisado ギサード”と言います。ギサードよりエストファードのほうがより時間をかけて「煮込む」感じでしょうか。おふくろの味の代名詞でもあります。

豆料理や肉、魚介・・いろいろな煮込みがあるなか、なんと言っても王道は肉のワイン煮込みだと思います。玉ねぎとピーマン、にんにくと肉を炒めて白ワインで煮こむのもスペインらしくて大好きですが、牛肉を赤ワインで煮こむシチューも美味しいですよね。白いごはんにも合うし。

まだ続きそうな寒い日にぐつぐつ煮込んでくださいね。

ビーフシチュー
Estofado de ternera

材料(3〜4人分)
牛肉(シチュー用、肩ロース、すね肉などの角切り) 500g
玉ねぎ                               1個
にんにく                              1片
ベビーキャロット                     8本
じゃがいも                             2個
トマトの水煮                             400g(1缶)
オリーブオイル                         大さじ2
赤ワイン(辛口フルボディ) 1/2カップ
ローリエ                          1枚
砂糖                               小さじ2
塩、黒こしょう                       各適量
小麦粉                            少々

(必要ならば)固形ブイヨン 1個 グリーンピース  適宜

作り方

  1. 牛肉は塩、こしょうをし、小麦粉をまぶす。
  2. 玉ねぎとにんにくはみじん切りにする。じゃがいもは一口大に切る。トマトの水煮はつぶしておく。
  3. 鍋(焦げやすい鍋ならフライパンで)にオリーブオイル大さじ1を温め、牛肉を焼く。全面がこんがりとなったら取り出す。残ったおこげもこそげとりとっておく(玉ねぎが焦げるのでしっかりと)。
  4. 鍋にオリーブオイル大さじ1を温め、玉ねぎを加え弱火にしてゆっくりと炒める。玉ねぎがしんなりとしてきたら、にんにくを加えさらに炒める。
  5. 玉ねぎの甘みが出てきたら、牛肉とおこげを戻し入れ赤ワインを注ぎ、半量になるくらいまで煮詰める。
  6. トマトの水煮、ローリエ、砂糖、水11/2カップ、好みでブイヨンを加えて強火にかける。煮立ったら弱火にしてアクを取り除く。ふたをして1時間ほど煮込む。
  7. ベビーキャロットとじゃがいもを加え、ふたをしてじゃがいもがやわらかくなるまで、15~20分煮込む。
  8. 必要であれば塩、こしょうで味を調節する。

Sopa de ajo

風邪知らずのにんにくのスープ  “ソパ・デ・アホ”

スペイン人の台所には必ずと言っていいほどあるのがにんにくと残ったパン。そしてどの家庭にも常備されてるパプリカパウダー。さらに残ったスープストック、卵があれば完璧。というわけで冬にささっと作れる料理として本当に重宝されてるのがソパ・デ・アホ。にんにくのスープです。その上、風邪の予防や治療にも効果があるともなると、つくづくありがたいスープなんです。

熱々をふーふーしながら、口にするとにんにくの香りがふわっと広がる。半熟の黄身はそっと割る。混ざらないように最初半分食べて最後は混ぜて食べるんです。ここが好みが分かれるところなんでしょうね。お味噌汁の卵みたいに。そしてパンのふやけ加減もすごく大切。おじやみたいにぐじゅぐじゅにならない程度に程よくスープが染み込んでないといけない。これも作る人によってすごく違ってくる。

にんにくのスープと言うと赤い色。「辛いのか・・」と思う人も多いようですが、スペインの人たちは辛いものはほとんど食べない。「トマト?」って思ってる人もいるけれど、パプリカパウダー(甘口)の色です。香りも豊かでスペイン料理には欠かせないからこの香りだけで「たまらん!」と思う人たちもたくさん。できれば香ばしいスモークタイプ、それもスペイン・ベラ産を使えばさらに良し。

実は黒こしょうをたっぷりふったり、間違って買ってしまった辛口パプリカパウダーを使ったり。スペインらしくないけど、ちょっと辛いのも悪くないんです。

これは冬がとっても寒いカスティージャ・イ・レオン地方から全国的に広がったスープと言われています。バスクだと塩抜きした干し鱈が入るのがおもしろい。カタルーニャの人に教えてもらったみじん切りにしたタイムを一緒に煮込むのも好き。香りよくさらに風邪予防の効果もさらに上がるのでうれしいんです。シェリー酒をちょっぴり落とすのもいい。ますます身体はポカポカ! そんなときは香り豊かなアモンティジャードがお薦めです。

シェリーと言えば、ずいぶん前に五反田のシェリーバル「シェリーミュージアム」でいただいた締めが “ソパ・デ・アホ”ラーメンだったことがありました。それもインスタントラーメンの乾麺。。ポップだったなぁ。パンの代わりに麺やご飯を入れても美味しいのでいろいろ試してください。

臭い?にんにくは炒めてオリーブオイルに香りを移すので少量でも充分ですし、炒めることによって後に残る臭いも軽減。このスープ、思いのほかまろやかなので、あしからず。

風邪なんかに負けぬよう残りの冬もにんにくのスープでのりきりましょう!

にんにくのスープ
sopa de ajo

材料(4人分)
にんにく    2~4片
バゲット  100g
卵     4個
パプリカパウダー(スモーク) 小さじ2
オリーブオイル 大さじ2と1/2
スープ(チキンスープなど)  6カップ
塩、黒こしょう 各少々

作り方
1. にんにくは粗みじんに切る。バゲットは1cm角に切る。

2. 鍋にオリーブオイルを温め、にんにくを炒める。

3. バゲットを入れてさらに香ばしく炒める。火を止め、パプリカパウダーをふり入れて全体を混ぜる。

4. スープを入れて沸騰したら、弱火にして塩、こしょうで味を調え、ふたをして20分ほど煮込む。

5. 卵を落とし入れ、半熟状になるまで煮込む。

Roscón de reyes

  ロスコン・デ・レジェス

1月6日は「東方三賢人の日」。
三賢人がキリストさまの誕生を祝うために、星に導かれ遠くからはるばるとラクダの背にゆられベツレムを訪れ、贈り物を捧げた日。

スペインやイタリアではその言い伝えにちなんで、こども達はラクダに乗ってやってくる三賢人からプレゼントをもらいます。それで別名「こどもの日」とも呼ばれているんです。

三賢人は新約聖書の中では占星術に精通した博士(Mago)として登場。
後に王(Reyes)だったのではという説も生まれ、スペインでは「Reyes Magos」と呼ばれています。ただ、一般的には「Magos」というのは魔術師という意味なので、「魔術師の王さま」・・・・
う~ん「魔法が使える王さま」という感じでしょうか。なんとも神秘的な・・特にこどもたちにはワクワクする響きだと思います。

そして、スペインでは「ロスコン・デ・レジェス(王さまのお菓子)」を食べる習慣があります。

小麦粉と卵にイーストを混ぜてこね、リング状に焼きあげます。
ドレンチェリーはルビーにエメラルド。王さまたちの帽子(マントという説も)に飾られた宝石たちを表しているそう。オレンジの花の蕾で作った「オレンジフラワーウォーター」香るケーキというよりはパン菓子。
そして中にはフェーブがひとつだけ入っていて、これに当たった人は今年1年幸運に恵まれると言われているんです。娘たちが小さな頃はこのフェーブが当たった、当たらないと喧嘩になったりして大騒ぎだったことがなつかしい。

この習慣は18世紀にフェリペ5世がフランスから伝承したとか。
そうです。フランスの「ガレット・デ・ロワ」。パイ生地の中にアーモンドクリームが入ったフランスでもまだ習慣が残っている同じく1月6日に食べるケーキです。

このケーキは歴史を辿ると古代ローマの時代まで遡るのですよ。
農耕の神・サトゥルヌスのお祭りの時に庶民にいちじくやデーツ、蜂蜜で作ったケーキが配られ、その中に隠されたそら豆が当たったら、奴隷でさえもお祭りの間だけ王さまの座が与えられたのだそうですよ。

よ~く考えたら、三賢人とは関係ない・・でも王さまつながりでぴったり一致してはいる。

こどもの日の前夜はところどころでお祭りパレードが行われます。こどもたちにとっては待ちに待った大イベント。マドリッドは特に大きなパレードでラクダに乗った王さまたちはもちろん、仮装した人たちや子供たちで大賑わい。華やかな行事だったな。主人が娘を肩車して投げられるキャンディを手を広げてとろうとする小さかった娘の姿が今でも目に浮かびます。学校の行事で羊飼いの仮装をしたこともあったな〜。羊飼いと言われてもどんな格好をさせて良いのか当時全くわからず、まだwebで調べるなんてないから、スペイン人に聞いたりして色々調達したっけ。今だったらすごく可愛いの作れる!新たに作って着せたいくらいだわ。いやもちろん子どもが着るからかわいいんです。いろいろなつかしいな。